理事長所信

2023年度スローガン
― 繋ぐ ―
人を繋ぐ ~会員拡大~
地域を繋ぐ ~魅力の発信~
心と身体を繋ぐ ~青少年教育~
政治と若者を繋ぐ ~政治参画意識の向上~
未来へ繋ぐ ~結びに~
【はじめに】
今、あしがら青年会議所は存続の危機にあると言っても過言ではありません。人口減少時代を迎えている昨今。私は会の存続の危機を、このあしがら地域に重ね、そしてこの日本という国に重ねています。あしがら青年会議所の現状は、まさに社会の縮図であると感じざるを得ません。
この地域を、この国を創り支えてきたのは、所謂団塊の世代以上の方々です。戦後の厳しい時代を生き抜いてきた先輩方は、日々の生活の為に、がむしゃらに働きながら、地域の為、国の為と活動をされてきました。地域の復興の為、国の復興の為と、熱い志をもった先輩方が創りだしたのが、この豊かな国日本です。
同じように、このあしがら青年会議所には、熱い志を持った先輩方がいらっしゃいました。最盛期には、およそ80名の会員が在籍し、地域を盛り上げたあしがら青年会議所ですが、衰勢期には在籍人数わずか4人と、まさに存続の危機に晒されたこともあったと聞いています。この組織を畳んでしまうという選択を取ってもおかしくない人数です。そんな厳しい状況下でも、我々の先輩方は、青年会議所の力を信じ、熱い志をもってして、我々現役世代にバトンを繋いでくださったのです。
私は、この青年会議所に入会して1年、2年と過ごした頃。漠然といつかは理事長を経験してみたいと、当時は軽く考えていました。そして、いざ理事長を引き受けさせていただいた時。39年間に及び受け継がれてきたこのバトンの重みを、強く強く感じました。この連綿と受け継がれた、熱く重いバトンを、途切れさせるわけにはいかない。私達現役世代には、このバトンを未来へと繋いでいく責任があります。
これは、あしがら青年会議所に限った話でありません。超高齢化社会に突入していく、日本の未来は、決して明るいとは言えなくなってきています。戦後の焼け野原から強く熱い思いで日本の復興を成した先輩方から、我々はしっかりとバトンを引き継がなくてはならない。そしてそのバトンを、胸を張って次世代の未来へと繋いでいく責任が我々にはあるのです。
【人を繋ぐ~会員拡大~】
この社会は世界、国、県、地域、市、町、自治体や企業法人、家族、そして個人へと、大きな集合体から小さな集合体で構成され、それは個によって支えられています。
地域が発展することは県の発展に繋がり、県の発展は日本の発展へ繋がり、日本の発展は世界へと繋がります。それは逆もしかりであり、地域の発展は企業や法人の発展、家族や個人の充実に繋がっていきます。地域の発展は、広い社会への発展へと繋がると同時に、小さな社会への発展、個人の充実へと繋がります。
それを本気で考え、実行できる団体こそが、この青年会議所です。各地域LOMから県、地区、日本、そして世界へと繋がっている青年会議所だからこそ、広い視野から地域を見つめることも、個人の視点から地域を見ることもできるのです。
ただし、地域から県、日本へと繋がっている団体は他にもあります。しかしながら、20歳から40歳の会員だけで構成され、親会もない団体は他にはありません。
20歳から40歳と言えば、仕事へと邁進する時期であり、また、家族や子どもがいる方は、家族サービスや子育てにも没頭したい時期です。地域活動などに時間を割いている暇はないと言う方もいるでしょう。しかし、企業等の課題や地域課題、教育や子育てへの課題を最もリアルに感じ、直面しているのがこの世代です。我々現役世代だからこそ見えている課題があり、我々現役世代だからこそできる地域貢献があるのです。
しかし、この素晴らしい形を成した青年会議所の火が、このままでは、近い将来あしがらの地域から消えてしまう。次の世代に繋いでいくためにも、会員拡大が必要なのです。
そのためには、我々がもっと魅力的な団体となり、もっと地域に必要不可欠な団体へと発展していく必要があります。あしがら青年会議所とは何をしている団体なのか、具体的にPRしていくことが必要になっていきます。
今、20代、30代の世代は、政治に対して無関心であり、どこか個人主義で広い社会に対することに無関心であることは否めません。それは仕方のないことなのでしょうか。これからは、我々現役世代が、本気で地域づくり、国づくりを考えていかなくてはならない時代に突入していきます。あらゆる社会問題に対して、いつまでも無関心であってはいけないのです。我々こそが未来を切り拓いていくという覚悟を持っていかなくてはいかないのです。
しかしながら、まだまだ未熟な我々です。敬愛するあしがら青年会議所先輩諸兄の皆様にも、ご教授いただきたいことが沢山ございます。強いあしがら青年会議所を知っている先輩方、また、苦境を乗り切った先輩方と、改めて繋がっていく機会を設けさせていただきます。
【地域を繋ぐ~魅力の発信~】
足柄地域の魅力と言えばなにか。
山があり、自然があり、水が綺麗だと言われています。しかしながら、自然豊かな場所というのは、他の地域にも存在しているのが現状であり、それだけで独自の魅力と主張するのははっきり言って難しい。ならば、この足柄地域が、他の地域にも誇れる独自の魅力とは何か。
雄大な自然を有するこの足柄地域には、かながわブランドを冠する和牛が2つも存在しています。この2つのブランド牛は、全国に名が轟いている有名和牛ブランドにも、引けを取らない美味しさです。全国的な知名度を獲得しても、おかしくないものだと確信しています。この二つの和牛ブランドの魅力を、地域内外、県内外へと発信するためのイベントを開催します。このイベントの開催によって、近い将来、あしがらと言えば牛肉が美味しい地域だと言われ、経済効果や観光人口の増大に繋がる足掛かりとしていきます。
【心と身体をつなぐ~青少年教育~】
戦後、我が国の軸は経済の発展でした。経済を軸にした結果、この何不自由のなく暮らせる豊かな国日本があります。しかしながら、その裏で何かを犠牲にしてしまったのではないでしょうか。とにかく経済成長を優先し続けるがあまり、心を無視し、心を捨て、心を殺してしまった人が多くいるのも事実です。
いじめ、虐待、パワハラ、セクハラ、モラハラ、果ては自殺。私はこの問題は心の歪みが原因であると言い切ります。きちんと自分の心と対話ができるようになる教育と、心と向き合う環境作りが必要です。
それは子どもたちが学べばよいというわけでなく、同時に大人たちも学ぶ必要性があります。我々大人が、この社会問題をどれだけ真剣に考えられるか、どれだけ真剣に向き合えるのか。近い将来、いじめや虐待などは根絶させるという強い気持ちが必要なのです。
心と身体、人と人とを繋ぐイベントの主催を通じ、自分の地域の価値の再認識や、自分自身という存在の価値、ひいては他人へのリスペクトを感じられる人間の育成に繋げていきます。
【政治と若者を繋ぐ~政治参画意識の向上~】
本年は、統一地方選挙がございます。南足柄市、開成町において首長選挙。足柄上郡において県議会議員選挙、南足柄市足柄下郡においての県議会議員選挙と、実に4つの選挙が控えております。我々は、昨年も3つの首長選挙の公開討論会を開催させていただきました。しかしながら、少人数で構成されている我々にとって、公開討論会を開催することは、労力と金銭的な負担があります。本年度4つすべて討論会を開催することは、会員の労力負担や予算の負担を鑑みたとき、討論会を開催しないという選択もありではないかという議論もありました。
昨年の国政選挙において、20代の選挙投票率が33.9%。30代投票率は44.8%と、若者の政治離れは深刻化しています。若者にとって政治というと、どこか遠い存在に感じ、結局誰がやっても一緒などと思考していることは否めません。若者の政治離れというよりも、政治が若者から離れているという考え方もあります。
若者が政治から離れているのか、政治が若者から離れているのかではなく、本来政治がもっと身近あるべきものであることを再認識する必要があります。
我が国の主権はどこにあるのでしょうか。天皇陛下にあるわけでもなく、総理大臣にあるわけでも、政権与党にあるわけでもありません。我々国民一人一人に主権があるのです。我が国は、民主主義国家であり、国民主権国家です。つまり、政治というのは我々国民一人一人が本来握っているものなのです。
現在インターネット等の普及により、政治家の方が情報を発信することは容易にはなりましたが、公職選挙法は未だ厳しいものがあり、特に地方選挙においては候補者の考えを知る機会はまだまだ乏しい現状がございます。
公開討論会は、中立な立場を貫ける青年会議所だからこそ開催できるものであり、ここで開催しないという選択を取るということは、この先も開催しないという選択を取り続けることに繋がってしまいます。
地域の未来を付託する地方選挙はより、我々の生活にも結びついています。
いまいちど、政治と若者を繋いでいくという意味においても、我々は公開討論会を開催いたします。
【未来へ繋ぐ ~結びに~】
私が日々強く感じているのは、子どもたちの未来に何を繋いでいくのかです。
戦後の復興期から活躍されてきた先輩方は、世界に誇る経済大国日本を繋いでくださった。
次は我々世代が、未来に何を繋いでいくのかです。
経済大国日本と言いましたが、このままでは日本の未来は明るいとは言えません。急激なデジタル化の波に、日本は大きく後れを取っており、もはやデジタル後進国とまで言われている始末です。
デジタル化だけではありません。ここ数年は様々な分野で変革が起きています。これまでの常識や社会全体の価値観などが大きく移り変わる、所謂パラダイムシフトが世界各地で起こっています。これまで通用していた、常識や価値観は、あと数年もすれば通用しなくなる。否、もうすでに通用しなくなっているのかもしれません。
我々青年だからこそ、この変革の波を乗り切れるのです。その変革の先頭に立たなくてはならないのです。そのためには、我々青年一人一人が、未来へ責任も持って行動しなくてはならない。
叡智と、勇気と、情熱をもって、明るい豊かな社会を創りあげ、未来へと繋いでいきましょう。
一年間どうぞよろしくお願いいたします。